強化ダンボールの特性や欠点、活用方法について解説いたします。
ダンボールの基礎知識
強化ダンボールのご説明の前に、まずはダンボールの基本的な知識について触れたいと思います。ダンボールは「フルート」と呼ばれる波状に加工された中芯と、その両面(または片面)に「ライナー」と呼ばれる紙を接着剤で貼り付けたシート状の資材です。
材質と構造上、軽くて丈夫な特長を持つため、輸送用の梱包材として使われています。紙が原料なので、カッター等で容易に断裁が可能であり、工作の材料にも用いられます。
特徴的なダンボールの断面
強化ダンボールとは?
強化ダンボールは、私たちが普段目にする運搬用の段ボールと比べて頑丈で厚い資材です。その構造には幾つかの種類があり、フルートをライナーで2層・3層にサンドイッチにしたものや、中芯が蜂の巣と同じ原理のハニカム構造になっている特殊なタイプもあります。
段ボールを重ねた構造のタイプのうち、2層構造のダンボールは「複両面段ボール」、厚みが8mmになる「Wフルート」等の名称があり、海外輸出用の梱包材として活用されています。3層構造のタイプは産業機器等の通い箱やパレット等に適しており、「複々両面段ボール」等と呼ばれています。製品としてはアメリカで開発された「バイウォール」「トライウォール」や、王子インターパック株式会社の「ハイプルエース」等が挙げられます。
一方、ライナーを剥がすと六角形の集合体になっているハニカム構造のパネルボードは、上からの耐圧に強く、自動車を載せても潰れないほどの高い耐荷重性を持っています。そのため重量物のディスプレイ台や椅子としても使われています。積層ダンボール、ハニカムボード等の名称でも呼ばれており、「X-Board(エックスボード)」等の商品名で販売されています。
ハニカム構造の強化ダンボールの断面
弊社で主に取り扱っている強化ダンボールはハニカム構造のタイプです。以下、こちらのタイプの強化ダンボールについてご説明させていただきます。
【ご案内】現在、弊社では強化ダンボールの印刷・カッティングは受け付けておりません。
強化ダンボールの特長
強化ダンボールは高い強度がありながらも、素材は100%紙から作られ、水溶性の接着剤を使用したエコロジー素材です。中芯は古紙配合率100%のクラフト紙で、ライナーは90%以上が再生パルプで構成され、使用されているバージンパルプは森林管理協会(FSC)に認定されているものです。また、100%リサイクルが可能な資源を有効活用できるマテリアルであり、燃やしたとしても有害物質が発生しません。そのためエコ・環境系の展示会やイベントと相性が良く、展示台や商品の陳列什器等に活用されています。
強化段ボール製の展示台
展示会では木工の展示台がよく使われていますが、木材と比較して強化段ボールは軽量のため、搬入時のブースまでの運び込み、撤収が容易になります。
また、ハニカム構造と紙本来の柔軟性を活かして、簡単に成形・加工ができる資材でもあります。カッティングプロッタの機能を駆使すれば、折り曲げたり、カーブをつけたり、複雑な形状に裁断したりと、デザインの可能性が広がります。
強化ダンボールの断面と曲面
また、弊社で取り扱っている強化ダンボールは通常のクラフトダンボールとは異なり、両面の白いライナーは印刷適性に優れているので、高品質なグラフィックを実現できます。印刷は大型のUVインクジェットプリンタで行います。
【ご案内】現在、弊社では強化ダンボールの印刷・カッティングは受け付けておりません。
強化ダンボールに関する注意点
強化ダンボールのカットした断面をご覧になると分かるように、表面の白色とのギャップがございます。
断面が気になるお客様には、側面を覆い隠して保護するエッジバンドの併用をご提案しております。色も白・黒・ウッド調など数種類あり、全体のイメージに合わせた選択が可能です。断面を「ダンボール特有の安っぽさ」と感じるか、「クラフトならではの味わい」「エコロジーの体現」と捉えるかはお客様次第ですので、状況に応じてエッジバンドの有無をご選択ください。
断面にエッジバンドを付けた例
強化ダンボールの弱点としては、紙製ゆえに耐水性ではありませんので、屋外の展示物の資材としては不向きです。たとえ表面をラミネート加工したとしても、断面からの浸水は避けられません。但し、汚れや傷から印刷面をガードする効果はありますので、印刷後にラミネート加工することを推奨いたします。
また、断面の耐久性に乏しいため、展示会等で輸送と組み立て・分解を繰り返しているとガタが目立ってきます。頻繁に使う展示台や什器には、木工による製作を選択すると良いでしょう。
強化ダンボールの活用シーン
強化ダンボールは、売場で組立が容易な商品陳列棚やクリスマスツリー型ディスプレイ、軽量な特長を活かした吊り下げ看板、持ち運びに便利なテーブルや椅子、一般のご家庭でも家具や本棚、お子様用の遊具に使われる等、多方面で活躍しています。
大きなサイズのディスプレイは、パーツ毎に分解された状態で発送し、現地で組み立てれば送料は抑えられます。立体物に仕上げるために、各パーツに強化ダンボールの厚みより少しだけ広い幅の切り込みを入れておきます。
商品陳列什器の組み立ての様子
弊社ではUVインクジェット印刷機による強化ダンボールへの大判フルカラー印刷や、デジタルカッティングマシーンによるフリーカットや折り曲げ加工、防汚性・保護性を高めるラミネート加工が可能です。強化ダンボールに限らず、既製のダンボール箱への小ロット印刷も承っております。お気軽にご相談ください。
【ご案内】現在、弊社では強化ダンボールの印刷・カッティングは受け付けておりません。
弊社の強化段ボール什器生産ライン
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